大人の事件簿シリーズ① “だいじょうぶ先生”と息子の受難

エッセイ

学校に勤めたり、子供を学校にやったりすると、いろんな先生に出会いますよね。

今日から、私の出会った、

いろんな意味で忘れがたい、

愛すべき先生達を紹介したいと思います。

まず、第一弾は、同僚ではなく、上の息子の担任だった理科の教師。

年の頃は50代後半、パリッと白髪の、元気の良いおじいちゃん先生でした。

はきはきした物言い、自信に満ちあふれた態度…その先生が担任になったと聞いて、

ちょっとうれしかった私。

事件その1:ヒラメと呼ばれた息子、部活地獄の巻


ところがですよ。

この年、上の息子が結構ひんぱんにトラブルに見舞われまして。

まずは部活でのトラブル。

先輩に、「おまえのツラ、平目に似とる。不細工やな。」と言われたそうな。

それは、まごうかたなき事実であり、

決して空想でも妄想でも幻想でもないことは、

親の私からしても納得の所存。

しかしですよ?

それ、言うたらいかんのんちゃうん??

上の息子は、先輩の手前、へらへらしてごまかしたらしい。

が、この対応が結果として

「こいつ、結構喜んどる。」

という間違った身体サインと受け取られることになり、

被害は拡大。

上の息子は「ヒラメ」とあだ名をつけられ、

部室内をヒラメ泳ぎさせられ、

ヒラメパンチとやらを編み出されて

パンチを受け止める側になったそうな。

ある日突然、息子がぽつりと、 「明日から学校行きたくない」という。

驚いて学校に相談に行くが、担任の先生曰く、

「まあ、よくある先輩のコミュニケーションですよ。心配ないです。」

いやいや、心配だろ!?

心配かどうかは、担任じゃなくて、


本人と家族が決めることだと思うんですけど。

事件その2:水筒破壊と「ものは壊れる運命だ」発言


次に、学級でのトラブル。

放課後の教室で、級友に訳もなく水筒を取られ、

投げ回されたあげく、落ちた水筒が壊れてしまいました。

息子は、担任の先生に報告に行ったものの、先生は

「仕方ない。ものはいつか壊れる運命だ。」

と言ったそうな。

息子がちゃんと事情を説明しなかったとのかとも思いましたが、

本人はきちんと話したという。

一件落着した形になっているようなので、

電話するのが非常にためらわれたが、

気になったので、連絡してみた。

そのときの言葉がこちら。

「お母さん、お母さんも中学校の先生なんだから、わかるでしょう? 中学生は、よくそうやってものを壊すんですよ。 いちいち怒ってたら大変ですよ。 高価なものでもないのですから、 穏便にいきましょうや。

え~?おかしいですよね?

①まず、お母さんが中学校の先生だからわかる、という前提条件がおかしい。

②確かに中学生はよくものを壊すが、他人のものをよく壊したりはしない。

③高価なものではないが、大事にしていたものを壊された気持ちはないがしろにされたままである。
④穏便って、なに?

本来ならこの案件、

上も巻き込んで大きな事案に発展してもおかしくない
くらいの

トンチンカンな対応なんですが。

残念ながら①お母さん中学校の先生  が作用して、

これ以上は大事にならぬようこちらが泣き寝入り。

事件その3:英語の最後の章がごっそり消えた日


最後に、英語の授業での出来事。

どうやらクラスが落ち着かなかったらしく、

一年間、他クラスと同様に授業したものの、

最後の最後に英語の教科書が一章まるまる出来なかったそうな。

そのときに英語の先生が

「このクラスは騒がしいので最後の章は出来なかった。 自分たちの不徳のいたすところとして大いに反省しなさい。」

と言われて授業が終了したという。

上の息子が、言った。

「お母さん…そういうのって、いいんかね? 僕は英語を習ってるからいいけど、 他の人は困るんじゃない?」

この案件も、…すごく悩んだ末に、担任の先生に電話してみる。

もちろん、電話をかけるときは、

考えられる限り相手に気を遣ってかけている。

保護者から連絡が入るほど気の滅入ることはないのだから。

「あの~すいません、 息子が…英語の授業最後まで終わらなかったって言うんですけど… 大丈夫なんですかね…?」

担任の先生「大丈夫ですよ。よくあることです!ご心配には及びません。」

電話を切った後、勤務校の英語教師に聞いてみた。

「一年生の、英語の最後の章、終わらなかったらしいんだけど…」

「それはダメでしょう!? 過去形とかの、一番大切なところですよ。 たっぶり5時間くらいはかかるところですから。」

もう一度電話。

「あの~、大事なところらしいですけど…」

「そんなわけはないですよ。最後の部分ですから大丈夫。

…話になりません。

要するに、この先生の不思議な自信、

これって、他人の話をちゃんと聞かないところに由来するわけで。

息子の遭遇したどの案件も、 普通だったら聞き取りしたり、

関係者に問いただしたり指導したりする事案なんだけど、

この先生の一存だけで「大丈夫」って決まっちゃってる。

英語の件はどうしても見過ごせませんから、

そっと教頭に連絡すると、

次年度を迎えた4月、

まだ学級開きの季節に旧クラスの生徒だけ集められ、

英語の補習が行われたそうな…。

たっぷり4時間かかったという。

終章:古き良き大量採用世代の先生の末路


今から10年以上も前の話だし、

地方の中学校のことなので、

こんなにのんびりしているのかもしれないけど…

それにしても、釈然としない一年間でした。

古き良き時代の 教員大量採用時代

最後の最後の先生だったのでしょう。

今の時代なら

燃えて燃えて、燃えカスになっとるわ…

と、 思い出しながら、

ため息が止まらないもずくでした。


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