女子中学生B子の秘密──ルッキズムの檻の中で

掌編小説

私はB子。

自慢じゃないけど、見た目にはちょっと自信アリ!

女子からは、めっちゃんこ可愛いって思われてる。

まあ、そうだよね。男子からもすっごく視線感じるし。

きっと、私のこと、噂してんだろうな〜って、

それは通りすがりの廊下での男子の様子で分かっちゃう。

もちろん、そのことを、友達に言ったりはしないよ。

そりゃそうだよ。だって、他の子の嫉妬買うとかやばいじゃん。

誰にでも好かれる可愛い子ってのが私の目指す女子中学生なんだから。

私の自慢は、ツルツルの肌。

毎日、シートパック欠かさない。

日焼けしたくないから、

日焼け止めとうっすらファンデは外せないよね。

リップはニベアの色付きリップ。

ピンク色になって、可愛いんだぁ。

学級写真のときは…う〜ん、ちょっと?

ちょっとだけだけどさ、

周りの子よりも、顔が白いんじゃない?って

担任のもずく先生には言われたけど。

でも、「私、生まれつき色が白いんです!」って言ったら、

先生騙されてたし、ま、いっか!

そういえばこの間、

しっかりメイク…じゃなくて、日焼け止め塗って行ったんだけど、

眉毛盛るの忘れちゃって。

ヤバっ!てなって、

急いでの美術のデッサンで使う4Bの鉛筆持って

トイレに駆け込んだんだよね。

で、眉毛描いてたら

もずく先生が個室トイレからイキナリ出てきてさぁ。

もう〜!いるならいるって言ってよね!プンプン!

結局見つかって、怒られちゃった。

「すみません」って謝って、もうしませんって言ったけどさ、

本当は今日も忘れちゃったから、4Bの鉛筆で描いちゃったんだよね。

ちょっと濃くなっちゃったから、

もずく先生に、「なんか、眉毛濃くない?」って言われちゃった。

でも「生まれつきです」って言ったら先生騙されてたし、ま、いっか。

ヘアスタイルは、内緒なんだけど、

インナーカラー入れてるんだあ。

これはね、ママが染めてくれたんだよ。

ママ、私が可愛いのが嬉しいって。

ママ、だ〜いすき。

今日は、制服のブラウスの下に可愛いピンクのキャミを仕込んで、

男子をドキドキさせちゃうんだ〜♡

ブラウスのボタンはもちろん一つ外して…

もずく先生に見つからないように、気をつけてっと。

スカートは当然、ガチ折りでミニスカにしてる。

もずくババア…じゃなくて、先生は、

「スカートのプリーツが乱れてカッコ悪いよ」って言うけど、

関係なくね?スカートのプリーツ乱れるとか、なにそれ?笑う。

あぁ〜!もう!やだぁ♡

また、1組のA太がこっち見てる。

もう、あいつ、最近いつもこっち見てるし。

ホントめんどくさい♡

すぐに、隣のF雄に耳打ちして…ほらほら、こっち見ながら。

もう!噂するの、ヤ・メ・テ♡

あんなダサい奴ら、告られても、絶対付き合わないんだから。

はあ〜、今日は何人の男子に見られるんだろ。

ちょっと鏡見にいこ♡

うん、今日も可愛い。

長い髪も、お団子にして、しっかりまとまってるし。おっけ♡

  

〈男子〉

なんかマジ、きっも〜

眉毛、太くね?

ぎゃはははははは!

頭にウンコ乗っかってね?

ぎゃはははははは!

も〜う!そんなに見つめるな!バカ♡


…なんだろ。

…胸の中に黒いモヤモヤが広がっていく。

男子に背中を向けて

手鏡でそっと辺りの様子を伺う。

大丈夫。

もう、あの頃の私じゃない。

イジメラレタリ

ワラワレタリシタ

アノコロノ

ワタシジャナイ。



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